
2026年1月25日、本願寺名古屋別院(西別院)でデジタルキッズフェスを開きました。お寺の本堂と境内をまるごと使った、一日限りのイベントです。これまでで最大の規模になりました。

テーマは「デジタル寺子屋」
この回のテーマは、デジタル寺子屋でした。
お寺とデジタル。並べると、いちばん遠いもの同士に見えます。江戸時代の学び舎と、生成AIや3Dプリンター。合うはずがない。でも、寺子屋はもともと教育機関です。地域の子どもが読み書きを習いに来る場所でした。そう考えると、お寺でデジタルを教えることは、むしろ元の役割に戻っているとも言えます。
合っていないようで、合っている。この「あってそうでなくて、やっぱりあっている」感じそのものが面白い。だからこの回は、そこを全面に押し出しました。会場を借りたのではなく、テーマとして選んだお寺です。
ここでしかできないこと
本堂では、ドローンに仏様を乗せて周遊させる「空飛ぶ仏様」をやりました。この回でいちばん、ここでしかできないものになったと思っています。
会場の意味とプログラムの中身が噛み合っていないと、どこでやっても同じイベントになります。逆に噛み合うと、写真を一枚見ただけで「これはあの日のあの場所だ」と分かるものが残る。
当日やったこと

ドローン操縦とミッションチャレンジ、3Dプリンターでのプレート制作、3Dペン、電子楽器セッション、生成AIで「未来の仏様」をデザイン、ユカイ工学のロボットとのふれあい、レーザー刻印キーホルダー、STEAM campus のレゴ®プログラミング、ARスタンプラリー、マインクラフト。
境内にはキッチンカーと物販が並び、体験に来たのか、お参りに来たのか、ごはんを食べに来たのか分からないくらいの日になりました。デジタルの体験だけを切り出さず、地域の行事の中に置いたことが、この規模につながったと思っています。
有料と無料を分けた話
この回では、パスポートを買って回れるエリアと、無料で入れる境内ゾーンを分けました。
体験には機材と人手がかかります。全部無料にすると続きません。かといって全部有料にすると、いちばん来てほしい層が入口で止まります。だから、じっくり作るものは有料、通りすがりで触れるものは無料、という線を引きました。無料ゾーンで面白そうだと思った家庭が、その場でパスポートを買う流れも実際に起きています。

大人向けの時間は、うまくいきませんでした
本堂では、代表の西脇による「生成AI時代をどう生きるか」の講演と、西別院の住職とのクロストーク「デジタルとお寺のこれから」も行いました。
子どもが体験している間、保護者は手持ち無沙汰になる。そこを座って聞ける時間にすれば滞在時間が伸びる、という読みでした。ところが実際には、保護者は子どもの隣にいます。付き添って、一緒に見て、写真を撮る。大人だけを別の場所に集めるのは、イベントの最中には難しいと分かりました。
内容が悪かったわけではなく、置き場所を間違えた。大人向けの話は、イベントの当日ではなく別の日に切り出したほうがいい。次の設計に持ち越します。

やってみて分かったこと
大きなイベントでいちばん難しいのは、来場の多さと体験できる量のバランスです。回遊だけにすると「触っただけで終わった」になり、じっくりだけにすると「来たのに何もできなかった」が出ます。
ARスタンプラリーのような待ち時間ゼロの回遊型を用意しておくと、全体の満足度が下支えされる。これは2025年のえひめDXキッズフェスタ3会場での反省から持ち込んだ設計で、今回もよく効きました。人気のブースに列ができても、その間にやることがある。この一手があるかないかで、会場の空気がまったく違います。
もうひとつは、共催・出展のみなさんに入っていただいたことです。ユカイ工学さん、アクセンチュアさん、STEAM campus さん、そして西別院のみなさん。私たちだけで用意できるメニューには限りがあります。場所を持っている人、コンテンツを持っている人と組むことで、一日で回りきれないくらいの量になりました。
次にどこでやるかは、まだ決めていません。ただ、教室を持たないまま各地に出ていく形は、この回でひとつの答えが出たと思っています。