
2024年1月25日、愛媛県今治市のフジグラン今治に、常設の拠点「デジタルキッズクラブ今治」をオープンしました。1月18日からのプレオープンを経てのスタートです。愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」の採択事業として、施設運用の検証を行いました。

教室ではなく、居場所として
ここは、プログラミングを教える教室ではありませんでした。8歳から18歳なら登録すれば誰でも無料で使える、子どもの居場所として設計しています。
ドローン、デジタル楽器、3Dプリンター、3Dペン、動画撮影機材を置いて、好きなものを選んで触ってもらう。疲れたら本やブロックで休んでいい。ビーズクッションを置いたコーナーもつくりました。高校生・大学生のメンターにも入ってもらっています。
ショッピングセンターの中という立地も意図的です。子どもだけで来られて、親が買い物をしている間に寄れる。「習い事に行く」ではなく「寄る」場所にしたかった。

数か月やって見えたこと
常設拠点は、単発のイベントとは別のものが見えます。

まず、同じ子が何度も来ます。1回目は何をしていいか分からず、置いてある機材を一周して帰る。2回目に3Dペンを触ってみる。3回目には作りたいものを決めて来る。この積み上がりは、1日のイベントでは絶対に見えません。3Dペンでつくった自転車や、施設のロゴをかたどった作品が並んでいくのを見ると、続けて来られる場所の意味がよく分かりました。
一方で、来る子は固定されていきました。無料で誰でも使えると言っても、来られるのは今治市内の、しかもフジグラン今治まで来られる子です。校区が違えば来られない。その外側には届きません。

そして、続けるためのコストがはっきり見えました。常設は、誰も来ない時間帯にも人と場所のコストがかかります。無料で開くという方針と、それを支える収入がない、という単純な話でもありました。
やめる、という判断
この検証を踏まえて、私たちは2024年5月にデジタルキッズクラブ今治を閉じています。事業の方針そのものを変えました。

常設の一拠点で待つのではなく、機材を持って各地に出ていく形へ。同じ費用で、届く範囲がまったく違います。いま各地でフェスやワークショップを開いているのは、この今治での数か月があったからです。「拠点を持たない」というやり方は、最初から選んだものではなく、ここで一度やってみて出した結論でした。
今治で関わってくださったみなさん、FC今治、FC今治高校、今治高等学院のみなさん、そして通ってくれた子どもたちに、あらためて感謝しています。