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オンラインの出前授業は、どこまでできてどこからできないか

オンラインの出前授業は、どこまでできてどこからできないか

「オンラインでも同じことができますか」。学校からご相談をいただくとき、かなりの割合で最初に聞かれる質問です。

結論から書きます。オンラインでできるのは、考える・選ぶ・言葉にするところまでです。できないのは、物が思いどおりに動かない瞬間に、その場で手を貸すことです。この線を先に引いておくと、オンラインにするか出張を頼むかの判断がかなり早くなります。

この記事は、実際に呼ばれる側として書いています。オンラインを勧めるための記事ではありません。オンラインで無理をした結果、45分がうまく使えなかった経験も含めて書きます。

オンラインの相談は、たいてい3つの事情から来る

ご相談の背景は、だいたい次のどれかです。ひとつ目は距離で、来てもらうには遠いという事情。ふたつ目は予算で、交通費や機材の運搬までは出せないという事情。3つ目は日程で、動かせない日にどうしても入れたいという事情です。

この3つは、どれもオンラインで解ける可能性があります。逆に、「教室に機材を持ち込めないから」という理由だけの場合は、オンラインにしても解決しません。機材が要る体験は、オンラインにしても機材が要るからです。

成立する体験と、しない体験

体験の性質 オンライン 理由
考えて、言葉にして、出力を見る 成立する 端末と通信があれば同じことが起きる
画面の中で形を作る ほぼ成立する 操作の詰まりは画面共有で見える
1人1台の機材を手で動かす 成立しない 機材が現地にないと始まらない
その場で物ができあがる 成立しない 出力機が現地にないと持ち帰れない

表の上2行と下2行のあいだに線があります。この線は「難しさ」ではなく「物があるかどうか」で引かれています。

オンラインでできること① 考えて、直して、また出す

いちばん成立しやすいのが、生成AIを使う授業です。作りたいものを言葉にして、出てきた結果を見て、思っていたものと違えば言葉のほうを直す。この往復は、端末と通信さえあれば教室でもオンラインでも同じように起きます。

この形が学校向きなのは、正解がない問いを扱えるからでもあります。うまく出せた子と出せなかった子の差が、能力ではなく「何をどう頼んだか」の差として見えるので、その場で共有できます。

実際に子どもから出てくる反応のなかで、いちばん持ち帰ってほしいのは「AIの答えが間違っていることがある」と気づいた瞬間です。これはオンラインでも十分に起こせます。

オンラインでできること② 画面の中で形を作る

3Dの形を作る作業も、オンラインで成立します。操作に詰まっている子がいれば、画面を共有してもらえば何が起きているかはだいたい分かります。むしろ教室で机の間を歩くより、手元がはっきり見えることさえあります。

ただし条件がひとつあります。作ったものを最後にどうするかを、事前に決めておくことです。画面の中で終わらせるのか、後日まとめて出力して学校に届けるのか。ここを決めずに始めると、いちばん盛り上がったところで宙ぶらりんになります。

オンラインでできないこと① 機材を手で動かす体験

ドローンのように、実物を操縦する体験はオンラインでは成立しません。当たり前に聞こえますが、ご相談としては実際にいただきます。

この種の体験の価値は、思ったとおりに飛ばない、ぶつかる、落ちるという経験そのものにあります。画面越しに見ているだけでは、その悔しさは発生しません。見学としては成立しますが、体験としては別物になります。

オンラインでできないこと② その場の手当て

もうひとつ、意外と大きいのがこれです。教室にいれば、手が止まっている子に気づいて近づき、10秒で立て直せます。オンラインだと、手が止まっていること自体が見えません。

だから、オンラインで実施するときは先生に教室側で動いていただく前提で設計します。こちらが全体に話し、先生が手の止まった子に近づく。この二人体制が組めるかどうかが、成否をかなり左右します。

通信と機材で、実際に詰まるところ

技術的なところも正直に書きます。詰まるのはたいてい通信速度ではなく、音です。教室のスピーカーで再生すると聞こえにくく、子ども側の発言はもっと拾えません。挙手や画面上の反応など、声以外で意思を返せる手段を1つ決めておくと安定します。

もうひとつは、外部サービスへのログインです。学校の端末で使えないサービスがあることは珍しくないので、当日ではなく事前に1台で通しておく必要があります。ここを飛ばすと、開始の数分が全部消えます。

うまくいかなかったこと

オンラインで無理をして失敗した経験を書きます。手を動かす時間を多めに取ろうとして、説明を短く詰めたことがありました。結果として、序盤で手順を取り違えた子が最後まで戻れませんでした。

教室であれば、取り違えはその場で直せます。オンラインでは直せません。だから、オンラインの説明は教室より短くではなく、むしろ丁寧にする必要がありました。オンラインは時間を節約できる形式ではない、というのがこのときの学びです。

もうひとつ。オンラインが向かないのは、その日に何かを持ち帰らせたい行事です。作品を手に持って帰るところまでが目的なら、出張のほうが確実です。

私たちがオンラインで受けている形

デジタルキッズクラブは、愛媛・東京・千葉・愛知でイベントや出張・オンラインのワークショップを行っています。教室を持たず、学校や施設に伺うか、オンラインでつなぐかのどちらかです。

オンラインのワークショップでは、いま挙げた線引きをそのまま設計に反映しています。物が要る体験は無理に載せず、生成AIを使う体験のように端末で完結するものを中心に組んでいます。

逆に、実物に触れることが目的であれば、出張のワークショップをご案内しています。どちらが良いかではなく、その時間に何を残したいかで決めていただくのがいちばん失敗しません。

依頼の前に決めておくと早いこと

3つあります。時間の枠、人数、そしてその時間で何を持ち帰らせたいかです。3つ目が「作品」なら出張、「初めて触れる経験」や「考え方」ならオンラインで足ります。

あわせて、教室側で動ける先生が1名いるかどうかも先に教えてください。そこが決まっていると、こちらの設計が変わります。

授業・行事への出張を承っています

出張とオンラインのどちらが向くかの相談だけでも承っています。実施が決まっていない段階のご相談で構いません。話すだけの形であれば、オンラインでも密度は落ちません。講演・研修はオンラインでも承っています。

出張・オンラインの相談をする

すでにご検討中の方は こちらから直接ご相談ください。

この記事を書いた人

デジタルキッズクラブ(運営:lanitech合同会社)/西脇 靖紘

デジタルキッズクラブ 代表。愛媛・東京・千葉・愛知で、子どもがデジタルの道具に直接手を伸ばす一日一日をつくっています。これまでに延べ1,000名以上の子どもと保護者に体験を届けてきました。愛知淑徳大学ではAI関連科目の非常勤講師も務めており、日々AI×教育と向き合っています。これら記事の内容は、私たちの現場での運営や観察にもとづいています。

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