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総合的な学習の時間に外部講師を呼ぶ|依頼の流れと予算の考え方

総合的な学習の時間に外部講師を呼ぶ|依頼の流れと予算の考え方

総合的な学習の時間に外部講師を呼びたい。そう考えたときに、実際どこから手をつければいいのか、費用はどの予算から出るのか。この2つで止まっている、という話を先生方からよく聞きます。

この記事は、呼ばれる側から書きます。私たちは学校や地域から依頼を受けて、機材ごと現地に伺っている団体です。依頼のメールが来てから当日までに何が起きるか、どこで話が止まりやすいかを、実務のまま並べます。

先に結論を書きます。止まりやすいのは費用ではなく、「何時間もらえるか」と「誰が窓口になるか」の2点です。ここが決まっている依頼は、たいてい実施まで進みます。

この記事の要点

  • 最初に決めるのは予算ではなくコマ数と人数。ここが決まらないと提案の形が決まらない
  • 推奨は90分(2コマ連続)。45分だと「作れて終わり」になり、やり直す時間に届かない
  • 相談は2〜3か月前。1か月を切ると機材の都合で内容を絞ることになる
  • 見積で大きいのは機材費ではなく人件費。先生や地域の方が運営側に入ると費用は下がる
タブレットを操作しながらドローンを飛ばす子どもの手元
機材を置くだけでは子どもの手は動きません。隣で声をかける大人がいて、はじめて動き始めます。見積の主要因はここです。

まず決めるのは、予算ではなくコマ数

最初のご相談で「予算がいくらまでなら可能ですか」と聞かれることが多いのですが、私たちが先に知りたいのは時間と人数です。ここが決まらないと、そもそも何を提案できるかが決まりません。

条件 できること できないこと
45分×1コマ 道具に触れて1回作るところまで 失敗してやり直す時間が取れない
90分(2コマ連続) 作る→うまくいかない→直す、まで届く 1クラス30名超だと待ち時間が出る
半日 複数の体験を回す。学年単位で実施できる —

子どもが伸びるのは作れた瞬間ではなく、思った通りにならなくて手が止まる数十秒のほうです。そこに届かせるには、2コマ要ります。

私たちが推すのは90分(2コマ連続)です。理由は単純で、45分だと「作れて終わり」になるからです。1コマしか取れない場合は、説明を削って触る時間に全部寄せます。それでも成立はします。

依頼から実施までの流れ

実際の順番です。学校側でやることと、こちら側でやることを分けて書きます。

時期 学校側 こちら側
2〜3か月前 実施したい時期・学年・人数・コマ数を決める 内容の候補を出す。実施可否を返す
2か月前 校内で日程を確定。管理職の了承を取る 見積を出す
1か月前 会場(教室か体育館か)と電源を確認 機材の構成を確定。当日の進行を作る
2週間前 保護者への案内文を出す 案内文に載せる内容(持ち物・服装)を渡す
前日 机の配置。動線の確保 機材の最終確認
当日 担任が全体を見る 機材の搬入・設営・運営・撤収

2〜3か月前に動き出せると、選択肢が広く取れます。逆に1か月を切ると、機材の都合で内容を絞ることになります。急ぎでも相談していただいて構いませんが、選べる幅は狭くなるとお考えください。

窓口を1人に決めてください

話が止まる最大の原因は、実は日程でも費用でもなく窓口が複数いることです。担当の先生・教務・管理職の間で条件が少しずつ違うまま話が進むと、こちらは毎回違う前提で提案することになります。最初のメールで「この件はわたしが窓口です」と書いていただけると、そこから先の往復が半分になります。

費用は、どの予算から出しているか

ここは学校によって本当にばらつきがあります。私たちが実際に見てきた範囲では、この4つが多いです。

出どころ 01学校配当予算の「講師謝金」枠いちばん一般的。ただし金額が小さいことが多く、機材を伴う内容だと足りない場合があります。
出どころ 02PTA・学校運営協議会の予算「子どものために」の使い道として通りやすい。PTA主催という形にすると動かしやすくなります。
出どころ 03自治体の事業・補助メニュー教育委員会側で持っている場合があります。学校単独で探すより、教育委員会に聞くのが早いです。
出どころ 04企業の協賛・地域連携地元企業が費用を持ち、学校は場所と子どもを出す形。私たちも地域の企業と組んで実施してきました。

実務的なコツをひとつ。「予算がいくらあるか」を先に言っていただけると、話が早く進みます。金額に合わせて内容を組み替えられるからです。伏せられると、こちらは標準の見積を出すしかなく、そこで「高い」となって止まります。

見積の中身は、実は機材費ではない

誤解されやすいところなので書いておきます。私たちが数百人規模の一日を組むとき、費用の内訳で最大になるのは機材費ではなく人件費です。当日の運営体制は、体験の数だけ人が要ります。

学校での実施はもっと小さい規模ですが、構造は同じです。3Dプリンターを1台置いても、それだけでは何も起きません。隣について「次はここを押すよ」と言う大人がいて、はじめて子どもの手が動きます。人数が増えるほど、必要な大人の数も増えます。ここが見積の主要因です。

逆に言うと、先生方や地域のボランティアに運営側へ入っていただけると、費用は下がります。ご相談ください。

費用を下げたいときに効く順番

  1. 運営に入る大人を、学校側で確保する先生・保護者・地域の方。1人増えるごとに、こちらが連れて行く人数を減らせます。
  2. 体験の種類を絞る3種類を1種類にすると、機材も人も減ります。子どもの満足度は、種類の数より1つあたりの時間で決まります。
  3. 同じ日に2校まとめる近隣校と合同にすると、移動と設営の費用が1回分で済みます。

うまくいかなかったこと

正直に書きます。私たちは受け入れ人数の設計で失敗しています。

2026年1月に名古屋の本願寺名古屋別院で開いたイベントでは、想定を超える来場がありました。人気の体験に長い待ち列ができ、同じチケットなのに体験できた量に差が出ました。1人あたりの時間を長めに見積もっていたことが原因で、現場の実感はもっと短くて足りる、というものでした。

ここから学んだのは、「何人来るか」ではなく「何人にきちんと体験させられるか」から決めるということです。学校での実施も同じで、1クラス全員に同じ体験をさせるのか、班に分けて回すのかを先に決めないと、当日に待ち時間だけが伸びます。

もうひとつ。大人向けのトークセッションを同じ時間帯に組んだ回は、ほとんど人が集まりませんでした。子どもが夢中になっている時間に、大人だけを座らせる設計に無理がありました。学校でも、参観の形をどう組むかは先に決めておいたほうがいいと思います。

当日、先生にお願いしていること

外部が入る日は、先生の役割が「教える人」から「見る人」に変わります。ここを事前に共有しておくと、当日の進み方がまるで違います。

  • 手が止まっている子を教えてください。私たちは初対面なので、いつもと様子が違う子が分かりません。ここは先生にしか見えない情報です
  • できていない子に、先回りして手を出さないでください。うまくいかない数十秒が、この日のいちばん大事な時間です。見守っていただけると助かります
  • 時間の管理は先生にお願いします。私たちは体験に集中しているので、次の時間割との接続は学校側で見ていただくほうが確実です

保護者への案内文に、入れておくといいこと

2週間前に出す案内文は、当日の進み方に直結します。私たちがお渡ししている内容は、だいたいこの4つです。

  • 汚れてもいい服装。3Dペンや工作を伴う回では、これだけで当日の声かけが1つ減ります
  • 作ったものを持ち帰るかどうか。持ち帰る場合は、袋が必要かどうかまで書いておくと確実です
  • 撮影の可否。学校の方針に合わせます。私たちの記録用に撮る場合も、事前に範囲を決めておきます
  • その日は「うまくいかない時間」がある、と先に伝える。ここを書いておくと、うまく作れなかった子が家で否定的に振り返らずに済みます

4つ目は地味ですが、いちばん効きます。失敗が予定に入っていると分かっている子は、手が止まっても離れません。

向かないケース

すべての場面に外部講師が要るわけではありません。こういう場合は、無理に呼ばなくていいと考えています。

探究のテーマがまだ決まっていない段階外部が入ると、その日のテーマに引っ張られます。問いが子どもから出る前に呼ぶと、順番が逆になります。
先生が同じ内容をできる場合GIGA端末で完結する内容なら、外から人を呼ぶ必要はありません。私たちが役に立つのは、学校に無い機材が必要なときです。
単発で終わらせる予定がない場合継続的にやりたいなら、外部に依存しない形を最初から設計したほうが結果的に安く済みます。

オンラインという選択肢

移動費がかかるため、遠い地域からのご依頼は費用が上がります。その場合はオンラインのワークショップという形もあります。

正直に書くと、実物の機材に触れる体験は、オンラインでは代替できません。ドローンを飛ばす、3Dプリンターから出てきた物を手に取る。ここはどうしても現地です。一方で、画面の中で完結する内容(3Dモデリング、生成AIでのデザイン)はオンラインでも成立しますし、物になる部分は郵送で解決しています。

オンラインで確認しておくこと

学校側の回線と、端末の台数、そして音声をどう出すか。この3つでつまずくことがいちばん多いです。特に体育館や特別教室で実施する場合、電源と音響が想定と違うことがあります。前日に5分だけ接続テストの時間をいただけると、当日の開始10分を溶かさずに済みます。

私たちについて

デジタルキッズクラブは、子どもが「使う側」ではなく「創る側」に立つ日をつくっている団体です。運営は lanitech合同会社。決まった場所を持たず、学校や地域の場所に機材ごと伺う形で実施しています。愛媛・東京・千葉・愛知で開催してきました。

スクリーンの前に机を並べて開催した子ども向けデジタル体験の会場
会場は学校・商業施設・お寺・公共施設などさまざまです。必要な設備は電源・机・動線・屋内の4つで、特別な設備は要りません。

活動の目的は一つで、地域の子どもが、エンジニアやIT・AIの仕事を進路として選べるようにすることです。地域にそういう大人が少なければ、子どもはその職業を選択肢に入れません。総合的な学習の時間に外部の大人が入る価値は、内容そのものより「そういう仕事をしている人が実在する」と分かることにあると考えています。

実施できる体験は1つずつ公開しています。出張ワークショップのページから、内容と必要な設備をご確認ください。

なお、高等学校では「総合的な探究の時間」という名称になっています(2026年8月時点、文部科学省の公開資料で確認)。呼び方が違うだけで、外部人材の入れ方の考え方は変わりません。

よくある質問

Q. 外部講師の依頼は、どのくらい前に相談すればよいですか?

2〜3か月前にご相談いただけると、内容の選択肢が広く取れます。1か月を切ると機材の都合で内容を絞ることになりますが、ご相談自体は受け付けています。

Q. 45分1コマでも実施できますか?

できます。ただし説明を削って触る時間に寄せる形になり、失敗してやり直すところまでは届きません。可能であれば90分(2コマ連続)をおすすめしています。

Q. 費用はどの予算から出すことが多いですか?

学校配当予算の講師謝金枠、PTAや学校運営協議会の予算、自治体の事業や補助メニュー、地元企業の協賛。この4つが多いです。教育委員会が持っているメニューは学校単独で探すより問い合わせたほうが早いです。

Q. 見積で大きいのは機材費ですか?

人件費です。機材を置くだけでは子どもの手は動かず、隣について声をかける大人の数で費用が決まります。先生方や地域のボランティアに運営側へ入っていただけると費用は下がります。

Q. 高等学校でも同じ扱いですか?

高等学校では「総合的な探究の時間」という名称になっています(2026年8月時点、文部科学省の公開資料で確認)。呼び方が異なるだけで、外部人材の入れ方の考え方は変わりません。

この記事を書いた人

デジタルキッズクラブ(運営:lanitech合同会社)/西脇 靖紘

デジタルキッズクラブ 代表。愛媛・東京・千葉・愛知で、子どもがデジタルの道具に直接手を伸ばす一日一日をつくっています。これまでに延べ1,000名以上の子どもと保護者に体験を届けてきました。愛知淑徳大学ではAI関連科目の非常勤講師も務めており、日々AI×教育と向き合っています。これら記事の内容は、私たちの現場での運営や観察にもとづいています。

授業・行事への出張を承っています

45分1コマから実施できます。移動が難しい地域にはオンラインの形もあります。コマ数と人数をお聞かせいただければ、成立するかどうかから正直にお答えします。なお、機材を持ち込む体験のほかに、道具を置いて話す講演・研修の形もあります。総合の時間に「AIとどう付き合うか」を扱いたい場合は、そちらでも承ります。

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