
3Dペンは何歳から使えるのか。危なくないのか。買う前にこの2つが引っかかって止まっている、という話をよく聞きます。
検索すると、出てくるのはほとんどが「おすすめランキング」です。どれも似た構成で、実際に子どもが使っている場面の話がほとんど出てきません。
この記事は、イベントで子どもたちに3Dペンを渡してきた側から書きます。何歳の子がどこでつまずくか、実際にどこが危ないか、そして5分で飽きる子と1時間続く子の違いまで、現場で見えたことをそのまま並べます。商品の比較はしません。
結論:小学1年生から使えます。ただし条件があります
私たちの体験は未就学から中学生までが対象で、メインは小学1〜4年生です。その範囲で言えば、小学1年生でも問題なく使えます。未就学児も、大人が横についていれば触れます。
ただし「使える」と「一人で使わせていい」は別です。条件はこの3つです。
- 大人が同じ机にいること。離れて見守るのではなく、隣です
- ペン先が熱くなることを、最初に本人の言葉で言わせること。説明を聞いただけの子は忘れます
- 作るものを小さくすること。大きいものを作らせると、時間が延びて集中が切れ、切れたところで事故が起きます
実際に危ないのは、ペン先ではありませんでした
ここがいちばん書きたかったところです。3Dペンで警戒されるのはペン先の熱ですが、現場でヒヤッとするのはペン先そのものより、その周辺です。
| 場面 | 何が起きるか | どう防ぐか |
|---|---|---|
| 持ち替えるとき | ペン先の向きを意識せずに握り直し、指がかすめる | 置き場所(スタンド)を最初に決めて、必ずそこに戻させる |
| 作品を触るとき | 出したばかりの樹脂を、固まったと思って触る | 「白くなるまで待つ」と目で見える基準を渡す |
| 隣の子と話すとき | ペンを持ったまま体ごと振り向く | 机の幅を広めに取る。詰めて座らせない |
| やり直すとき | 失敗した樹脂を引きはがそうとして力が入る | 剥がすのは大人がやる、と最初に決めておく |
4つ全部、手が止まって集中が切れた瞬間に起きています。だから対策は「熱い部分を触らせない」よりも、集中が切れる前に終わる大きさで作らせるほうが効きます。
学年別に見た、つまずきどころ
同じ道具でも、学年でつまずく場所が変わります。
| 学年 | できること | つまずくところ |
|---|---|---|
| 未就学 | 紙の上に線を描く。平面の形を塗る | 立体にしようとすると倒れる。手の力が続かない |
| 小1〜2 | 平面のパーツを何枚か作って、あとで貼り合わせる | 最初から立体で描こうとして失敗する |
| 小3〜4 | 立ち上げて立体にする。厚みを意識できる | 細くしすぎて折れる。作りたいものが大きすぎる |
| 小5〜中学 | 設計してから作る。強度を考えて太さを変える | 思ったより単純な作業に感じて、早く飽きることがある |
小1〜2で「平面のパーツを作って貼り合わせる」に誘導できるかが分かれ目です。いきなり立体を描かせると、倒れる・くっつかないで終わって、道具のせいにして離れます。
5分で飽きる子と、1時間続く子の違い
同じ体験ブースで、同じ道具を渡して、反応がはっきり分かれます。差を生んでいるのは器用さではありませんでした。
「何を作るか」を先に持っているかどうかです。
- 続く子は、作りながら不満を言います。「ここが太い」「思ってたのと違う」。頭のなかの像と、目の前のものを比べている状態です
- 離れる子は、出てきたものをそのまま受け取ります。「できた」で終わって、次が出てきません
だから私たちは、渡す前に一度聞きます。「今日は何を作る?」。ここで何も出てこない子には、お題を出さずに、まず線を1本描かせます。描いているうちに出てくることが多いからです。逆に、最初に見本を見せて「これを作ろう」と言うと、その子は見本を写して終わります。
最初に作らせるものを間違えない
お題選びで、その日の成否がほぼ決まります。現場で「これは外さない」と分かってきたものを挙げます。
| 外さないお題 | やめたほうがいいお題 | |
|---|---|---|
| 未就学〜小2 | 名前のイニシャル1文字。平面の花や星 | 動物。立体にしようとして必ず倒れます |
| 小3〜4 | メガネのフレーム、小さな器、キーホルダー | 家や車。パーツが多すぎて時間内に終わりません |
| 小5〜中学 | 自分で決めたもの。ただし「手のひらに乗る大きさ」だけ条件にする | 大人が用意した見本を写させること |
共通しているのは「手のひらに乗る大きさ」です。これより大きいと、樹脂の量も時間も跳ね上がり、集中が切れたところで雑になって、本人が「失敗した」と感じて終わります。
もうひとつ、地味ですが効くコツがあります。下絵を紙に描いてから、その上をなぞらせる。いきなり空中に描かせるのは、大人でも難しい動作です。紙の上で形を作り、あとから立ち上げる。この順番にすると、小1でも立体まで届きます。
買う前に確認したい3つ
商品名は書きませんが、確認したほうがいい点だけ挙げます。
- 温度。低温タイプ(樹脂が違うもの)は火傷のリスクが下がりますが、そのぶん作れるものの強度が落ちます。未就学〜小低学年なら低温、それ以上なら通常でも構わないと考えています
- 替えの樹脂が手に入るか。いちばん多い「使わなくなった理由」がこれです。本体より、消耗品の入手性を見てください
- 置き場所。ペンを置くスタンドが付いているか。前述のとおり、置き場所が決まっていないことが事故の主因です
買わなくていい場合
正直に書きます。買わないほうがいいケースもあります。
- 本人がまだ興味を示していない。体験もしていない段階で買うと、高い確率で数回で終わります。イベントや科学館で一度触らせてから決めるほうが確実です
- 家で工作が回っている。すでに紙やねんどで「作って、失敗して、直す」が起きているなら、道具を増やす優先度は高くありません
- 大人が横につく時間が取れない。一人で使わせる前提なら、まだ早いと思います
うまくいかなかったこと
私たち自身の失敗も書いておきます。数百人規模のイベントで3Dペンを出したとき、想定より早く故障しました。予備機を用意していなかったため、その時間帯は待ち列を止めることになりました。
それから、1人あたりの体験時間を10分に設定したところ、人気の体験は30〜60分待ちの行列になりました。待たせないことを優先した結果、ひとりの子がじっくり試す時間を削っていたことになります。3Dペンは短時間で回せる体験ですが、それは「回転が速い」だけであって、その子の中で何かが起きるかどうかは別だと考えるようになりました。
私たちがやっていること
デジタルキッズクラブは、子どもが「使う側」ではなく「創る側」に立つ日をつくっている団体です。運営は lanitech合同会社。教室は持たず、地域の商業施設やお寺、公共施設を借りて開催しています。愛媛・東京・千葉・愛知で開催してきました。
3Dペンは、私たちが持ち込む機材のひとつです。実際にどんな時間になるのかは3Dペンの体験ページで公開しています。立体をもう一段しっかり作りたい場合は、3Dモデリングと3Dプリンターのほうが向きます。
買う前に一度触らせたい、という使い方をしていただいて構いません。むしろ、触ってから決めるほうがいいと思っています。
次回の開催日をLINEでお知らせします
3Dペンは私たちが持ち込む機材のひとつです。買う前に一度触らせたいという使い方で構いません。日程と会場が決まりしだい、LINEを追加いただいた方から先にご案内します。
メールで受け取りたい方は こちらからご連絡ください。